はふぅ……しっぽ、落ちてないねー。
外も暗くなってきたし、そろそろ正門を閉められちゃうよお。
「ね〜な〜」
「ないねー」
教室も探したし、廊下も体育館も、更衣室も見たのに。
どこにいっちゃったんだろー。
「とにかく教室に戻ってみようぜ。純夏たちがみつけてれば、いいんだけどな」
「……うう、ごめんなさい、たけるさん」
探すの手伝ってもらえるのはうれしいけど、迷惑掛けちゃうのはよくないよね。
みつからなかったら、みんなに悪いよ。
がんばって、探さないと。
それに、あのしっぽ、たけるさんがくれたものだから。
無くしたままにはしたくないよ。
こんなお別れの仕方はいやだよー。
「はふぅ」
「ん? どうした? 疲れたか?」
「違うよ。探すのみんなに手伝ってもらって…………」
「んなの気にするなって、どうせヒマなんだからさ。特に純夏だな。
あいつはやることなんてねぇから平気だよ」
「千鶴ちゃんはきっと忙しいと思うよ」
学級委員のお仕事もあるし、他にも色々掛け持ちしてるし、それに部活もあるから。
部長は2年生に譲っちゃったけど、まだまだラクロスがんばってるの知ってる。
ミキも見習わないといけないんだよね。
……最後の大会、負けちゃったけど…………。
人前に出るとあがっちゃうし…………精一杯やったもんね。
あれは、仕方なかったんだよ。
練習だってちゃんとしてきたんだし。
やれるだけはやった結果なんだから……。
がんばるだけ、がんばったんだから…………。
「まあ、委員長は忙しいかもな。ちなみに、オレはヒマだぞ」
そ、そうなんだ。
たけるさん、全然気にしてないのかな? もらった物なのになくしちゃって。
聞きたいけど、聞くの怖いよ……。
だ、だけど、聞いてみようかな。