……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「お食べ」
 ……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「よしよし……」
 だいぶ育ってきた。
 もう、見た目は大人。
「よう」
「……?」
「下から見えたんでな……しかしおまえ、まめだな。普段は学校なんか
来たり来なかったりなのに」
「ヤキソバは総合健康バランス食」
「……こうなると否定しづらいんだよな……っつーか、話の流れ察してくれ」
 ……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「しかし、すっげえなついてるなぁ。肩にとまって離れないじゃん。どれ……」
 ――――ぎーぎーぎーッ!
 ばたぱたぱた……
「うう、嫌われたもんだなあ……でも、いっちょ前に羽ばたいてやがんな」
「『月刊トリ』によれば、もうすぐ巣立ち」
 その後は、自分の力だけで生きて行くさだめ。
 誰もがいつかはその日を迎える。
 ばたぱたぱた……
「お食べ」
 ……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「そろそろ飛べるのか?」
「……そのはず」
「そのくせ、彩峰に甘えてるな」
 ――――ぎーぎーぎーッ!
「お、なんだ? オレに文句でもあるのか?」
 ばたぱたぱた……
 ……ばたぱたぱた…………。
「おおっ! すげぇ! すげぇ!! ちょっと飛んだぞ!」
 そうだね。
 もう、時期なのかもしれないね。
 ひとりでも…………強くなったんだ。
 いつまでもここにいると弱くなる。
 私のそばにいると弱くなるよ……。
 ……ピィピィ…………。
 だから、お別れだね。
「……白銀、用意はいい?」
「は? 用意って? 何のだ?」
 ……ピィピィ…………。
「……飛んでごらん」
 ばたぱたぱた……
「行くよ」
「え? あ、おい! 彩峰! なんで、いきなり大ダッシュなんだよ!!」
 ――バタンッ!
「……ったく、はあ……はあ…………どうしたんだ? トリ置き去りにしてよ」
 これでいい。
 ――ギィィ
「おい……なんで、オレらが屋上をのぞき見してるんだ? お、あいつ、おまえを捜してるぞ」
 ……ピィピィ…………。
 …………ピィピィ…………。
 ばたぱたぱた……
「おい、彩峰? 何考えてんだよ?」
 ……ピィピィ…………。
 …………ピィピィ…………。
 ばたぱたぱた……
 飛び立つ力があるなら、私はいらない。
 一緒にいるのよくない。
 ばたぱたぱた……
 ……ピィピィ…………。
 ばたぱたぱた……
「あいつ、おまえを捜してるぞ、絶対に…………出て行ってやれよ」
「甘やかすつもりはない」
「……巣立ちが近いってのはわかったよ。けど、まだ早かったんじゃねぇのか? 
あんなに一生懸命、捜してさ」
 ばたぱたぱた……
 ……ピィピィ…………。
「なんか、かわいそうじゃんかよ。見てられねぇぞ…………さすがにさ」
 ――ガチャ
「白銀、だめ…………それ以上、開けたらだめ」
「オレ、こういうの弱いんだよ〜」
「あのコは強いから大丈夫」
 ……私と違って強いから。
 自分で羽ばたく力がある。
 飛び立つ勇気もあるよ。
 その邪魔をしたらいけない。
「これでいいのか? って、あ、あいつ…………フェンスにのったぞ」
 そこからの眺めは気持ちいい。
 けど、飛ばないとだめ。
 眺めてるだけじゃ、だめ……。
 だから、飛ぶんだよ。
「あ……あいつ……おい、彩峰!?」
「……うん」
 こっち、見たね……。
 ……ピィピィ。
 行ってらっしゃい。
 ばたぱたぱた………………
「おおおぉっ!! すげぇっ! やった、あいつ、ちゃんと飛んだ! 
すげぇぞ、すげぇぞ、彩峰!」
「……うん、飛んだね」
 ……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「お食べ」
 ……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「よしよし……」
 だいぶ育ってきた。
 もう、見た目は大人。
「よう」
「……?」
「下から見えたんでな……しかしおまえ、まめだな。普段は学校なんか
来たり来なかったりなのに」
「ヤキソバは総合健康バランス食」
「……こうなると否定しづらいんだよな……っつーか、話の流れ察してくれ」
 ……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「しかし、すっげえなついてるなぁ。肩にとまって離れないじゃん。どれ……」
 ――――ぎーぎーぎーッ!
 ばたぱたぱた……
「うう、嫌われたもんだなあ……でも、いっちょ前に羽ばたいてやがんな」
「『月刊トリ』によれば、もうすぐ巣立ち」
 その後は、自分の力だけで生きて行くさだめ。
 誰もがいつかはその日を迎える。
 ばたぱたぱた……
「お食べ」
 ……ピィピィ…………。
 ――――パクッ
「そろそろ飛べるのか?」
「……そのはず」
「そのくせ、彩峰に甘えてるな」
 ――――ぎーぎーぎーッ!
「お、なんだ? オレに文句でもあるのか?」
 ばたぱたぱた……
 ……ばたぱたぱた…………。
「おおっ! すげぇ! すげぇ!! ちょっと飛んだぞ!」
 そうだね。
 もう、時期なのかもしれないね。
 ひとりでも…………強くなったんだ。
 いつまでもここにいると弱くなる。
 私のそばにいると弱くなるよ……。
 ……ピィピィ…………。
 だから、お別れだね。
「……白銀、用意はいい?」
「は? 用意って? 何のだ?」
 ……ピィピィ…………。
「……飛んでごらん」
 ばたぱたぱた……
「行くよ」
「え? あ、おい! 彩峰! なんで、いきなり大ダッシュなんだよ!!」
 ――バタンッ!
「……ったく、はあ……はあ…………どうしたんだ? トリ置き去りにしてよ」
 これでいい。
 ――ギィィ
「おい……なんで、オレらが屋上をのぞき見してるんだ? お、あいつ、おまえを捜してるぞ」
 ……ピィピィ…………。
 …………ピィピィ…………。
 ばたぱたぱた……
「おい、彩峰? 何考えてんだよ?」
 ……ピィピィ…………。
 …………ピィピィ…………。
 ばたぱたぱた……
 飛び立つ力があるなら、私はいらない。
 一緒にいるのよくない。
 ばたぱたぱた……
 ……ピィピィ…………。
 ばたぱたぱた……
「あいつ、おまえを捜してるぞ、絶対に…………出て行ってやれよ」
「甘やかすつもりはない」
「……巣立ちが近いってのはわかったよ。けど、まだ早かったんじゃねぇのか? 
あんなに一生懸命、捜してさ」
 ばたぱたぱた……
 ……ピィピィ…………。
「なんか、かわいそうじゃんかよ。見てられねぇぞ…………さすがにさ」
 ――ガチャ
「白銀、だめ…………それ以上、開けたらだめ」
「オレ、こういうの弱いんだよ〜」
「あのコは強いから大丈夫」
 ……私と違って強いから。
 自分で羽ばたく力がある。
 飛び立つ勇気もあるよ。
 その邪魔をしたらいけない。
「これでいいのか? って、あ、あいつ…………フェンスにのったぞ」
 そこからの眺めは気持ちいい。
 けど、飛ばないとだめ。
 眺めてるだけじゃ、だめ……。
 だから、飛ぶんだよ。
「あ……あいつ……おい、彩峰!?」
「……うん」
 こっち、見たね……。
 ……ピィピィ。
 行ってらっしゃい。
 ばたぱたぱた………………
「おおおぉっ!! すげぇっ! やった、あいつ、ちゃんと飛んだ! 
すげぇぞ、すげぇぞ、彩峰!」
「……うん、飛んだね」

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