――ジュ〜〜〜ジュ〜〜〜
そうそう、これこれ。
――ジュ〜〜〜ジュ〜〜〜
この色、このツヤ……。
――ジュ〜〜〜ジュ〜〜〜
このにおい……。
やっぱ、夏はヤキソバだね。
焼けたソースの香りが最高……。
ありふれた素材が生み出す、究極の贅沢。
年に1度のまさに今日、ヤキソバ祭り。
花火大会から名前、変更したほうがいいね。
『月刊ヤキソバ』にも載ってない至高の穴場スポット。
ここのオヤジいい腕してる。
後継者はちゃんと育ててる?
一代で終わらせたらモッタイナイ。
「ね〜ちゃん、今年も来たのかい?」
「……当然」
お祭りはひとがたくさん。
イヤだけど、ヤキソバのため。
何かを失わずには、何も手に入らない。
「今年はどうする? 去年みたいに鉄板全面に作るかい?」
「それはしない」
「お、そうかい。なら、どうする?」